グローバルな組織では、多くの場合、組織全体の従業員が受講しなければならない必須のトレーニングがあります。そのためには、多言語によるトレーニングを提供し、組織のすべての従業員が受講できるようにすることが必要です。
このような場合、LMS365でできる一つの方法として、異なる言語で同じ内容の学習を提供する多言語のコースを作成することができます。
このコースは、各言語で提供されるラーニングモジュールで構成されています。
他の方法と比較した場合、この方法の主な利点は、管理者がすべての受講者を1つのコースに登録できることです。これにより、受講者の管理と進捗の追跡を一元化することができます。
さらに、受講者はコースから直接、コンテンツを表示する言語を選択することができます。
ここでは、このような多言語のコースを作成・管理する方法と、レポートについてご説明します。
多言語のコースを作成する
この章では、特に多言語のコースの作成についてご説明します。
次の例では日本語、英語、中国語に対応した多言語のコースを作成します。
多言語のコースの作成は、通常のコース作成の手順で行いますが、以下に挙げるフィールドへの入力に、注意してください。
名前
「名前」フィールドで多言語のコースに名前を付ける場合、次のように入力できます。
スラッシュで区切り、複数の言語で名前を入力します。
最大128文字まで入力できます。
「名前」フィールドに、すべての言語のコース名を入力することができない場合、組織の公用語(たとえば、英語)でコース名を入力します。
複数の言語をタグ付けや、多言語用のカテゴリーの追加、また、コースの説明を複数の言語で入力したり、各ラーニングモジュールに各言語で名前を付けることで、受講者がこのコースを見つけやすくすることができます。
コース名が長い場合、コーストップページでは2行に渡って表示され、コースカタログのページでは複数行で表示されます。
概要説明と詳細説明
概要説明と詳細説明フィールドでは、コースの説明を入力するだけでなく、受講者が希望する言語のラーニングモジュールを選択する方法についての説明などを入力することができます。
カテゴリー
受講者が自分の好きな言語のコースを探せるように、コースに言語のカテゴリーを追加します。
カテゴリーを明確に分けることは、カスタムLMS365コースカタログのページで、関連するコースとトレーニングプランのみを表示する際にも役立ちます。
また、コースカタログで多言語のコースを管理する場合にも便利です。カテゴリーの詳細については「カテゴリーの作成と管理」をご参照ください。
多言語のコースにカテゴリーを適用するには、いくつかの方法があります。
- コースで利用できる言語のカテゴリーを作成し、これらすべてのカテゴリーをコースに適用します。
受講者はコースホームページのカテゴリーセクションで、自分の希望する言語を見つけることができます。受講者が言語のカテゴリーを選択すると、その言語に対応したコースとトレーニングプランのみが表示されます。 - 各言語をスラッシュで区切って複数の言語を入力し、多言語用のカテゴリーを作成します。これにより、受講者は、このカテゴリーでフィルタリングし、複数の言語に対応したコースを見つけることができます。
※カテゴリー名は最大256文字まで入力できます。 - 各言語のカテゴリーを作成し、作成したカテゴリーにコースのテーマをサブカテゴリーとして追加します。
このサブカテゴリーを適用して、希望する言語と学習テーマで該当するコースを見つけることができます。
受講者は、コースカタログページに表示されるコースカタログのカテゴリーで、言語カテゴリーの中で興味のあるテーマを見つけることができます。
例:セキュリティと管理をテーマとした英語、日本語、中国語の多言語のコースを提供する場合、3つのカテゴリーを作成し、親レベルを「English」「日本語」「中文(简体)」とします。 これらの言語のサブカテゴリーとして「セキュリティ」と「管理」を追加します。これにより、セキュリティをテーマとしたトレーニングには「English/security,日本語/ セキュリティ,中文(简体)/保安」というカテゴリーとサブカテゴリーが、 ※ サブカテゴリーはコースカタログレベルでのみ作成できます。 |
タグ
コースまたはトレーニングプランにタグを追加すると、受講者がコースカタログページの検索フィールドを使用して、関連するコースやトレーニングプランを見つけることができます。
カテゴリーとは異なり、タグは受講者には見えません。
多言語のコースでタグを適用するには、いくつかの方法があります。
- コースが提供する言語をタグに追加します。例えば、英語の場合「English」です。
- 多言語タグを作成するには、関連するすべての言語をスラッシュで区切ります。
タグの作成と管理については「タグの作成と管理」をご参照ください。
受講者がタグの全部、または一部を検索フィールドに入力すると、検索結果にはこのタグが付いたすべてのコースとトレーニングプランが表示されます。
例:受講者が中国語「中文」で検索した場合、検索結果には、このワードを一部に含むタグを持つコースがすべて表示されます。 |
ラーニングモジュール
受講者が希望する言語での受講を可能にするためには、コースが対応している各言語に対して、個別のラーニングモジュールを作成する必要があります。
ラーニングモジュールは、「コンテンツ」セクションで作成します。
各ラーニングモジュールの名前をそれぞれの言語で表記することで、受講者は希望する言語のラーニングモジュールを特定することができます。多言語のコースの受講については「多言語コースを完了するには」をご参照ください。
例:画像のコースは、日本語、英語、中国語の3つのラーニングモジュールで構成されています。 |
クイズ
クイズは、次の方法で多言語のコースに追加することができます。
- LMS365 クイズビルダーで、各言語のクイズを作成し、これらのクイズをそれぞれのラーニングモジュールに追加します。
- ラーニングモジュールの作成または編集で、Microsoft Forms ツールを使用して質問を含むフォームを追加します。このフォームは、複数の言語で設定することができます。Microsoft Formsでは、クイズを作成することもできます。この場合、受講者は Microsoft Forms のユーザーインターフェースの言語を調整する必要があります。複数のコースカタログでこのクイズを使用する場合、Microsoft Forms を使用してクイズを作成すると便利です。
重要! |
トレーニング対象者
特定の言語のコースを、その言語での学習を希望すると思われるユーザーに限定して表示することができます。
例えば、フランス語を母国語とする人々のAADグループのメンバーのコースカタログにだけ、フランス語のコースが表示されるようにすることができます。
地域の設定
多言語のコースを作成する場合、コース編集パネルの「設定」セクションにある「地域の設定」に注意してください。
地域の設定は数字、日付、時刻のフォーマット、およびトレーニングの通知、認定証、レポートで使用する言語を決定します。したがって、多言語のコースの「地域の設定」においては、優先する地域を設定する必要があります。
コースカタログにあるすべてのコースが多言語である場合、通知をカスタマイズして多言語に対応する方法を採用することもできます。
通知をカスタマイズした場合、これらのカスタマイズはコースカタログレベルで適用されます。 |
コース完了設定
コース完了設定は、コース作成後にのみ利用できます。 |
多言語のコースでは、受講者は選択した言語のラーニングモジュールのみを完了することで、コースが完了となる必要があります。
したがって、受講者が選択したラーニングモジュールのすべての学習項目を完了したときにコース完了とするためには、コース内の各ラーニングモジュールに対して、個別のコース完了セットを作成する必要があります。
次の画像では多言語のコースのために3つの完了セットがあります。受講者はこれらのラーニングモジュールの1つを完了すると、コースが完了します。
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既定では、コースに追加された各学習項目は「初期設定」のコース完了セットに追加されます。 多言語コースのラーニングモジュールに新しい学習項目を追加する際には、必ずその学習項目が該当する完了セットに追加されているか確認してください。 |
詳しくは「コース完了設定の作成と管理」をご参照ください。
多言語のコースのトラッキングとレポート
LMS365 では、さまざまな方法でトラッキングとレポートの作成を行うことができます。
複数の完了セットを持つコースでコースを完了するには、各受講者はコース内の特定の学習項目を完了することが必要であることに注意してください。
複数の完了セットを持つ多言語のコースの追跡、レポートについて具体的にご説明します。
コースに複数のコース完了セットがあり、すべての受講者が登録されている場合、進捗を管理するには、コースの進捗パネルを使用するのが最も効率的です。
ユーザーページの「受講の進捗を閲覧」
ユーザーページで受講者を選択し、「受講の進捗を閲覧」から、受講者の進捗を確認します。
以下の点に注意してください。
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コースを展開すると、コース内のすべてのラーニングモジュールと、その中のすべての学習項目が表示されますが、多言語のコースでは受講者は特定の1つのラーニングモジュールのみを完了します。したがって、完了必須のマーク☆が付く学習項目は、受講者が選択したラーニングモジュールにより異なります。
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受講者がコースに登録されているが、未開始の場合、つまり、まだラーニングモジュールを選択していない場合、コース完了設定の「初期設定」の学習項目に完了必須のマーク☆がついています。
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受講者がコースを開始している場合、つまり、希望する言語のラーニングモジュールを既に選択している場合、選択したラーニングモジュールの学習項目に、完了必須のマーク☆がついています。
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受講者の選択したラーニングモジュールの進捗を削除すると、再びコース完了設定の「初期設定」の学習項目に完了必須のマーク☆がつきます。
トレーニング管理の「コースの進捗」
トレーニング管理ページでコースを選択し、 コース管理パネルの「コースの進捗」で受講者の進捗を確認します。複数のコース完了セットを持つ多言語のコースの進捗を確認するには、この方法が最適です。
コースの進捗パネルでは、通常のコースと同じように情報が表示されますが、以下の点に注意してください。
- 受講者を展開すると、コースのすべてのラーニングモジュールと、その中のすべての学習項目が表示されますが、多言語のコースでは受講者は特定の1つのラーニングモジュールのみを完了します。
したがって、完了必須のマーク☆が付く学習項目は、受講者が選択したラーニングモジュールにより異なります。 - 受講者がコースに登録されているが、未開始の場合、つまり、まだラーニングモジュールを選択していない場合、コース完了設定の「初期設定」の学習項目に完了必須のマーク☆がついています。
- 受講者がコースを開始している場合、つまり、希望する言語のラーニングモジュールを既に選択している場合、選択したラーニングモジュールの学習項目に、完了必須のマーク☆がついています。
- 受講者の選択したラーニングモジュールの進捗を削除すると、再びコース完了設定の「初期設定」の学習項目に完了必須のマーク☆がつきます。
以下の例では、2人の受講者が、日本語、英語、中国語のラーニングモジュールが利用できる多言語のコースに登録しています。既定の完了セットは日本語です。 LMS365受講者はコースに登録されていますが、まだ開始していないため、すべての学習項目は「未開始」になっています。ラーニングモジュールを選択して開始するまで、コース完了設定の「初期設定」の学習項目に完了必須のマーク☆がついています。 |
コースレポート
コースレポートは、コース内のコンテンツパッケージ、ラーニングモジュール、クイズに関する情報を提供します。
LMS365管理センター>トレーニング管理ページでコースを選択します。コース管理パネルの「コースレポート」を選択します。
複数の完了セットとラーニングモジュールを持つ多言語のコースの場合、以下の点に注意してください。
コンテンツパッケージ:受講者レポート
各受講者に表示されるコンテンツパッケージには、選択したラーニングモジュールだけでなく、コースのすべてのコンテンツパッケージが含まれます。
したがって、完了ステータスは、コース内のすべてのコンテンツパッケージの平均として計算されます。
受講者が、選択したラーニングモジュールに含まれるすべてのコースコンテンツパッケージを完了しても、完了ステータスは常に100%未満になります。
以下の例では、山田さんは日本語のラーニングモジュールを受講して、コースを完了しました。その結果、日本語のラーニングモジュールに含まれた日本語のコンテンツパッケージのステータスは「完了」ですが、完了ステータスのパーセンテージは 33% になります。 |
コンテンツパッケージ:コンテンツパッケージレポート
各コンテンツパッケージのレポートには、コースに登録されているすべての受講者のデータが含まれます。
したがって、選択したラーニングモジュールに含まれているコンテンツパッケージに進捗が表示されます。
他のコンテンツパッケージは完了する必要がないため、常に「未開始」ステータスになります。
以下の例では、LMS365管理者は英語のコンテンツパッケージを完了しています。日本語と中国語のコンテンツパッケージのステータスは「未開始」のままです。 |
ラーニングモジュール:受講者レポート
各受講者に表示されるラーニングモジュールには、受講者が選択したラーニングモジュールだけでなく、コース内のすべてのラーニングモジュールが含まれます。
したがって、パスのパーセント値は、コースのすべてのラーニングモジュールの平均値として計算されるため、値は常に100%未満となります。
以下の例では、3つのラーニングモジュール(日本語、英語、中国語)があるコースにおいて、LMS365管理者は英語のラーニングモジュールを選択しています。このラーニングモジュールを完了したにもかかわらず、これはコースの3つのラーニングモジュールの平均が計算されるため、パスの欄は 33.3% となっています。
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ラーニングモジュール:ラーニングモジュールレポート
このレポートでは以下の内容が表示されます。
「受講者数」列では、コースに登録されている受講者の数を確認することができます。
各ラーニングモジュールの平均時間は、このラーニングモジュールを選択した受講者の数ではなく、コースに登録されている受講者の数に基づいて計算されます。
クイズ :受講者レポート
各受講者の情報にはコース内のすべてのクイズが表示されいます。
したがって、受講者のクイズの全体の進歩は、選択したラーニングモジュールのクイズだけでなく、コースに設定されているすべてのクイズの平均値として計算されます。
そのため「合格」列ではパーセンテージが常に100%未満で表示されます。受講者の進捗を確認するには、個々のクイズを確認してください。
以下の例では、LMS365管理者は英語のラーニングモジュールで必要なクイズを完了しています。このクイズの合格列には「はい」と表示されていますが、合格列の合計パーセンテージは100% 未満です。 |
クイズ:クイズレポート
各クイズにはコースに登録されているすべての受講者が含まれます。
したがって、クイズの進捗は、選択したラーニングモジュールでこのクイズを開始した受講者のみに表示されます。
他のラーニングモジュールを選択した受講者は、常に「未開始」ステータスになります。
クイズの平均時間の計算は、このクイズを試行した受講者だけでなく、コースに登録されているすべての受講者の平均値として計算されます。
以下の例では、1人の受講者のみが「完了」ステータスになっています。ですが、クイズの平均時間の計算には、未開始ステータスを持つ受講者も含まれています。 |
コース内の学習項目の進捗
コース内の学習項目や、個々の受講者のコース内の学習項目の進捗を確認するには、
LMS365管理センター>トレーニング管理でコースを選択し「コースコンテンツ管理」 に移動します。
複数の完了セットを持つ多言語のコースでは次のようになります。
コース内の学習項目の一般的な進捗:
複数のラーニングモジュールがあるコースでは、各学習項目の進捗は、この特定の言語のラーニングモジュールを選択した受講者だけでなく、コースに登録されているすべての受講者の進捗が含まれます。
したがって、すべての受講者がコースを完了しても、各学習項目の進捗の計算には常に「未開始」ステータスが含まれます。
以下の例では、コースに登録されている3人の受講者が選択したラーニングモジュールを完了し、コースを完了しています。1人は英語のラーニングモジュールを完了し、もう1人は日本語のラーニングモジュールを完了し、残りの1人は中国語のラーニングモジュールを完了しています。したがって、すべての学習項目は33%完了と表示されています。 |
受講者の学習項目の進捗
各学習項目の「受講者の進捗を閲覧」を選択すると、コースに登録されているすべての受講者が表示されます。
受講者を選択して「受講の進捗を閲覧」を選択すると、受講者の当該ラーニングモジュールの詳細な進捗を確認することができます。その他のラーニングモジュールを選択している受講者は「未開始」のままです。